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様々な誰かの物語。

このページについて
・非常に短い文章を気ままに書いて少しでも文章を書く癖を付けようというコーナーです。
・完成度を求めるのはある程度書く筆が乗るようになってからにします。
・世界観等はほとんどバラバラです。
・説明等は無いので一見何の話か分かりにくいですが、どの話も過去作のいずれかと関係があるはずです。
・過去作の括りは本当に全部です。旧サイトからpixivの最近のものまで全てが対象になり得ます。
・思いついたネタを書き留めるという目的でもあるので、ここに書き殴ったものを基に短編を書く可能性があります。
・Repairの件やGRAND FORCE NEXUSの件を忘れないでください。計画はよく頓挫します。ただし内容が内容なので多少は続けられるはずです。
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目次
・無秩序な夢 2018/03/29




無秩序な夢
Edge's fragment-ポ/ケ/ダン小説及びGRAND FORCE NEXUSより

 夢を見ていた。多くの夢を。昨日は日常、今日は戦争、そして明日はまた別の何かを。それは自分自身が制御できるものでもなく、毎日のように夢に振り回されていた。
 原初の記憶はいつの日か。突然不意に訪れた気がする。生まれた瞬間の記憶が無いのは当然かもしれないが、その後の記憶も思い当たらない。すっぽりと抜け落ちている。そして気付けば最近の出来事だけが鮮明に残っている。ならば、これはただの記憶喪失なのだろうか。
いや、違う。記憶が混濁する。はっきりと思い出せる、混濁しきった記憶。重なる記憶。
 そうしてようやく思い当たる。俺は何者だ。認識が食い違う。冒険者だった気がする。何かのメンバーだった気がする。かと思えば、つい最近までは仲間の一人もいなかった気がする。あらゆる記憶が矛盾して、俺を混乱させる。
 だから、夢だと思った。明確に続いていたはずの記憶がどこかで途切れて、急に違う場面になってしまう。それを夢と言わずして何と言うのか。
 眠る前はどこにいただろうか。それも分からない。いや、眠った記憶はある。だけどそれすらも夢の中。始まりが分からない。どこまで遡っても分からずに、そしていつしか目の前は真っ暗になり……考えるのをやめた。

 だが、無秩序な夢の中には確かなものがあった。いつからか夢の中に現れ始めた何者か。緑の髪の青年と、黒い髪の少女。二人が俺を呼んでいる。何度も、何度も。

 目を覚ますと、そこは何の特徴も無い宿の一室。たった今まで眠っていたベッドを手で押さえてみると、僅かに押し返される感覚があった。ぼんやりと天井を見上げる。木目の模様がぼやける。ここも夢の中だろうか、それとも。
 突然、コンコンという音が響いてきた。誰だ。いや、それはきっと。
「―――、起きてるか?」
 妙に耳にしっくりくる、聞き馴染みのある声。ふっと緊張の糸が切れる。俺は何を考えていたのだろうか、そう投げ捨ててしまいそうになるくらいに。
「起きてるよ」
 一言だけ言うと、立ち上がる。さて、今日は何をする日だっただろうか。思い出そうとしても思い出せない、いや思い出せる。それは昨日には無かった記憶。突如として現れた記憶。このことに仲間は気付いているだろうか。それとも仲間の存在も俺の妄想なのだろうか?

 真実の在処は分からないが、とりあえず今は気にしないことにした。扉を開き、顔を合わせる。扉の向こうには見知った顔がある。笑顔と笑顔がそこにある。窓の外を見てみれば……今日もまた新しい一日が、そこにある。



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